ぎょしゃ座 Auriga
   広さ 657.8平方度   南中日 2月15日

散開星団 

NGC1664 04h47m04+43゚37' 6.2等。
 5cmではまず見えない。20cm以上で、ぼんやりとした光芒の中に微星が少しみられる。天の川のヘリに当たり、周囲はにぎやかである。
NGC1857 05h16m06+39゚18' 8.6等。
NGC1893 05h22m04+33゚21' 8.0等。
 ぎょしゃ座五角形の底辺ι星、β星とで正三角形を作るφ星付近には、
IC405IC410 などの著名な散光星雲が群がっているのですが、残念ながら長時間撮影の写真にしか姿を現してくれません。
 しかしその中に小さな散開星団
NGC1893 が重なっていて、これは10cm高倍率なら眼視で楽しむことが出来ます。
 また同一視野には 14,16,17,18,19 番星たちの行列が見えて、さしずめ賑やかな星のパレードといった感じです。
M36 (NGC1960) 05h32m00+34゚07' 6.3等。
 空がよければ肉眼でもぼんやり見えます。
 
M37M38 に比べるとやや小ぶりですが、明るい星が多いのでかえって見付けやすいかもしれません。
 双眼鏡で、星雲を交えている様な数個の星が見えます。10cmになると、ざらざらと多数の星が輝いて美観です。
 15cmで、個性的な星列が印象的。私には合掌造りの屋根のような形に見えましたが。  
M37 (NGC2099) 05h49m00+32゚33' 6.2等。
 Θ星とおうし座β星を結ぶ線の中点からやや東側です。空の状態ががよければ、肉眼でも見えます。双眼鏡で星雲状です。
 5cmで星が見え始めます。見かけの大きさは満月の3分の2程度。
M36M38 よりも星の数が多くて、微星の粒が揃っています。
 視直径がちょうど 80 倍くらいの望遠鏡視野にうまく納まり、観望会では見応えのある対象となります。
 特に屈折望遠鏡は星像がシャープなので、ひとつひとつの星がきれいに分解でき、目が闇に慣れれば慣れるほど無数の暗い星が見えてくる感じで、いつまでたっても見飽きません。 
 実は私は自宅のベランダに望遠鏡を出すと、まずこの
M37 に会いに行きます。一番好きな星団なんです。すみません個人的な話で。
 地球からの距離は 4400光年と考えられます。 
M38 (NGC1912) 05h25m03+35゚48' 7.4等。
 ぎょしゃ座の五角形の中央やや東寄りです。φ星の近所には細かい星がごちゃごちゃと並んでいるので、そのちょっと北あたりを探してみてください。
 双眼鏡では霧の塊のよう。5cmで、特徴的な十字型の星の配列がわかりはじめます。星の色はほとんど純白。
 10cmなら、星団の周囲にも無数の暗い星が散らばっていてきれいです。
 不思議なことに写真に撮ると、十字の並びが分かりにくくなります。同視野に
NGC1907 も見え、大小星団の対比が面白い。

    
左上がM38.下中央にNGC1907。
NGC2281 06h45m08+41゚07' 6.7等。
 ぎょしゃ座β星とふたご座カストルとを結ぶ線の中点あたりです。双眼鏡で数個の星。Y字型の配列がわかります。
 
M36M37m38 に隠れて見落とされがちな立場ですが、10cm以上で興味深い眺めが楽しめます。

惑星状星雲 

IC 2149 05h51m06+46゚07' 9.9等。

重星 

ω星 ,Σ616 5.1−7.9等。
 伴星は淡いが、5cmでかすかに見えるか。10cmなら分離する。色は薄赤色。
Σ644 6.9−7.0等。
 7
.5cmの試験星。しかし8cmでも伸びた像に見えるだけ。分離には 15cmが適する。赤紫色と薄青色の一対。
14番星 ,Σ653 5.2−8.1等。
 5cmで分かれる。15cmになると10"へだてて 11.3等があり、三重星とわかる。
Σ698 6.5−8.0等。
 5cmで分かれる。
Σ718 7.4−7.5等。
 6cmで分かれる。
26番星 ,Σ753 5.6−8.6等。
 8cm高倍率で分離する。
Σ764 6.8−7.4等。
 5cmで判明。
θ星 ,0Σ545 2.7−7.2等。
 10cmできわめて接近して見える。
41番星 ,Σ845 6.1−6.9等。
 5cmではっきり分離する。等光度なのでいかにも二重星といった眺め。
Σ872 6.9−7.5等。
 5cmでたやすく分かれる。黄色と純白色の一対。
Σ918 7.2−8.2等。
 5cmで伴星はかすか。15cmならよく分かれる。

変光星 

6.7〜13.7等。 ミラ型。周期 459日。
ε星 2.9〜3.8等。 アルゴル型。周期 27年。
ζ星 3.7〜4.0等。 アルゴル型。周期 2.7年。
 およそ 970日ごとに 40日間暗くなる食連星。

特異天体 

ε(固有名:アル・マーズ)
 発端は、1821年にドイツのアマチュア観測者
フリッチ牧師 が書いた一文でした。『ぎょしゃ座のε星がしばしばζ星やη星よりも暗く見えるので苦労しています。皆さんはこの星を観測しましたか?』
 ただしこの記事は全く無視されました。なぜならその後 20年以上、誰が観測してもε星は明るい 2
.9等のままで、そんなに長い周期の変光星があるはずがないと思われていたからです。

 1900年の春になって、ポツダム天文台の
フォーゲル が暗いε星に出会い、1821年のフリッチ牧師の記録のほかに、1842年から1903年までの10人以上の観測記録を徹底的に調査し、1847〜1848年、1874〜1875年、1901〜1902年とおよそ27年ごとに数百日間だけ、0.5等以上も暗くなっていたことを突き止めました。
 こうしてぎょしゃ座εは、伴星は見えないものの公転周期
27.1 年 の食連星であることが明らかになったのです。

 1982〜1983年の食では日本アマチュア光電測光観測者会議(JAPOA)が可視光ばかりでなく紫外線、赤外線、X線、電波などで詳しい光度曲線を得て、『
約6ヶ月で0.8等ほど減光し、およそ1年間暗い状況を保ち、再び 6ヶ月をかけてもとの明るさに回復する。』 という食変光のパターンを確定しました。
 そこで様々なモデルでシミュレーションが試されましたが、主星の約三分の二倍の半径の伴星が主星の前を 700日をかけて横切るパターンでは、「減光期間」:「食の底」:「増光期間」 の時間比はどうしても
2:1:2 になってしまいます。しかしぎょしゃε星の観測では1:2:1なのです。

ぎょしゃ座ε伴星の想像図(円盤モデル)

岡崎彰 「奇妙な42の星たち」 より

 では伴星はどのような天体なのでしょうか。ひょっとして主星よりも半径が大きくて半透明のガスの塊でしょうか。それとも土星の輪のような平ペッたい円盤が、真横に横切っているのでしょうか。
 その正体についての論争はまだまだ長く続きそうです。次の極小は
2037年〜2038年頃と思われます。
 あなた、ε星の謎解きに挑戦してみませんか。