おもしろ科学手品講座

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・・・・ 人生は浮き沈み ・・・
 

講座指導:諫早市多良見町 子ども科学てじな講師 田浦 和憲


【 材料 】 ペットボトル ボールペンの筒 水 ゼムクリップ

【 つくり方 】 
古くなったボールペンの芯(しん)を抜きます。お尻のキャップはしっかりと締めておいて下さいよ。
・・ ペン先側にゼムクリップを差し、おもりとします。
水に浮かべてみて、ちょうど水面ギリギリにお尻の先が1ミリ出るくらいに、ゼムクリップの数を調べてください。
もし1個では軽すぎて2個で沈んでしまうような場合は、ボールペンの軸に少しだけ水を入れて微調整(びちょうせい)します。

【 あそび方 】 ペットボトルに9分目くらいまで水を満たし、ボールペンを浮かべてしっかりとキャップを閉めます。 
   「ペンよ、潜(もぐ)れ!」と言いながらペットボトルを握った手に少し力を加えると ボールペンは沈み、「今度は浮いてこい。」と言いながら手をゆるめると 上へと浮いてきます

 力を加減(かげん)していることはお友だちにはわかりませんので、命令通りに動くボールペン にビックリすることでしょう。
 なんならで左手でボトルを握り、右手で誘導(ゆうどう)するような動きをすれば、まるで
念力(ねんりき)で動かしている ようにも見えます。


【 原理 】
 このようなものを「浮沈子(ふちんし)あそび」と言います。
   
 ペットボトルを握った手に力を加えると、その力は水を通してボールペンの中の空気を押し縮めます。
 わずかですが空気の体積が小さくなるわけです。
そのぶん 浮力が減ってボールペンが沈む という理屈です。

 この浮沈子には様々なアイデアでの発展工作が可能です。
 そのためにもまず原理を正しくしっかりと理解しておいて下さい。
 それは
水の浮力とは、その物体の体積で決まっている。」 という原理です。

 

 例えば同じ体積の木片と石とがあったとします。水の中ではどうなりますか。
 石と木ですよ。もちろん重さは石の方がはるかに重いから「だから石は沈むんだ。」と考えていますよね。
 ひどい人になると「
木片の方が浮力が大きい から浮くのである。」などと、とんでもない間違いを信じきっている人までいます。

 でもこれらを水の中に沈めた場合、かかる 浮力 は実は同じなのです。もっと正確に言うと、この木片と石の体積がともに 100cm3 なら、浮力はどちらも 100cm3 の水の重さ と同じなのです。・・


 当然、石は水よりも密度が大きいため、重力の方が浮力より大きいわけです。
だから沈むのですね。
 木片の方は、重力が浮力より小さいから浮くわけです。

 変な言い方ですが、の中に沈めた 100cm3は、浮力と重力とがつり合いますから、だから「水の中の水は動かない」のです。
 わかって頂けるでしょうか。この事を発見したのがヘレニズム時代の科学者アルキメデスです。これを「
アルキメデスの原理」といいます。


【 さらに解説 】

 ところで浮沈子ですが、ペットボトルを握った手に力を加えると、その力は水を通してボールペンの中の空気を押し縮めます。「気体のまわりの圧力が大きくなるほど、気体の体積が小さくなる。」これは「パスカルの原理」です。

 ですからわずかですが、空気の体積が小さくなるわけです。
 そのぶん浮力が減ってボールペンが沈むという理屈です。

 つまりこの場合は、重さは変化しないのですが、体積を変えることで浮力を変化 させていたのです。
 ですから最初にボールペンは、重力と浮力とがほぼつり合っていた状態にしておく必要があったのです。

・・

 すなわち浮沈子となるための原理を最も単純化して表すなら、右のような図になっていれば良いのです。
 ボールペンの口は開いたままですから、空気が圧縮されると、重さは変化せず、体積だけを変えることで浮力を変化させられます。

 ただしその空気の体積は温度によっても微妙に変化しますので、朝方に作った浮沈子を、お昼休みや次の日にお友だちに見せる場合などは、中の空気の量やクリップの数を、再度調整し直す必要 があります。

 

【 発展 】 原理がわかってしまえば、浮沈子となる材料はボールペンでなくても身の回りにもっといろいろとあることに気が付きます。
 万年筆などに使われる カートリッジ も格好の材料です。
 他にも棒キャンデーの袋、ビニール製の割りばし袋、マジックペンのキャップ、ろうそく、束ねた線香、折り曲げたストローなど、要するに中に空気を詰めて水に浮く物であれば、何でも試してみる価値はあります。
 おもりにはクギ、ペンダント、釣り用のおもりなども使えます。さまざまな品物を使って挑戦してみてください。
【 1. スタンダード浮沈子 】  【 材料 】 ペットボトル お魚の形をした醤油差し 水 針金
  【 遊び方 】 よく本などに紹介されている、最も 標準的な浮沈子 の作り方です。
 醤油差しの口の部分に針金などを巻いておもりとし、水を少し入れてコップの水面にすれすれで浮くように調整します。(ちょうどお魚の口に入るM6ナットをねじ込んでも良い。)

 ペットボトルに9分目くらいまで水を満たし、醤油差しを浮かべてしっかりとキャップを閉めます。
 「お魚さん、潜れ!」 と言いながらペットボトルを握った手に少し力を加えると、醤油差しは沈み、「お魚さん浮いてこい。」 と言いながら手をゆるめると上へと浮いてきます。

【 2. もっと簡単な浮沈子 】  【 材料 】 ペットボトル 曲がるストロー 水 セロハンテープ ゼムクリップ 
  【 遊び方 】 ところでちょうどペットボトルの口に入るような醤油差しは、実は100円ショップでもそうたくさんはありません。
 それから 「水圧で押されて体積が小さくなる」 ためには、ぶよぶよと柔らかく変形する醤油差しでないといけないのではないか、という勘違いをされている人もいます。
 せっかく買ってきたのに入らなかったり、あ、こいつは硬すぎてへこまないから使えないな。円柱形の醤油差しならあるんだけどな、魚型で小さいのはないよ。などと材料集めに苦労し、結局 「浮沈子を作ることは難しい」 と思ってあきらめてしまってる方はいらっしゃいませんか。

 そこで原理をもっと正しく理解していただくためにこの工作をします。
 材料は曲がるストローとクリップのみです。ストローの蛇腹の部分を曲げ、長い方を短い方の長さに揃えて切ります。
 セロハンテープで止めて、あとはちょうど水面すれすれに浮くようにクリップの数を調整するだけです。
 どうでしょう。これだけでもう立派な浮沈子なのです。

 ただしペットボトルの口が、折り曲げたストローがすんなり入ってくれる大きさである必要があります。

【 3. 醤油差しなんていらない 】  【 材料 】 エアキャップ ゼムクリップ 
  【 遊び方 】 包装などによく使われているエアキャップ(別名プチプチ?) も浮沈子になります。
 これの破れていないもの3〜5個くらいに、おもりを付けてみてください。
 これは中に水が入るわけはありませんよね。エアキャップが水圧につぶされて、体積が小さくなっていると思われます。
【 4. 硬いガラス瓶で浮沈子あそび 】  【 材料 】 透明なガラスビン 指サック 輪ゴム  
  【 遊び方 】 言い忘れましたが、浮沈子遊びに使うペットボトルは、炭酸飲料用の1.5リットルくらいのものが最適のようです。
 お茶用や炭酸無しのジュース用など、ふにゃふにゃペットボトルは、弾力がないので上へ戻りにくいのです。
 じゃあいっそのこと、
硬いガラスビン でもできないのか。

 そんな馬鹿な。そもそもペットボトルがつぶされるから、圧力が伝わるんだって、さっき言ったばかりでしょうが。つぶれないガラス瓶で浮沈子あそびが出来るんだったら、あたしゃ100回、でんぐり返りをして見せますよ。
 それができるようなのです。でんぐり返ってください。

 細長いガラスのビン(ワインのビンなど)に水と浮沈子を入れ、空気が入った 指サック をかぶせて、しっかりと輪ゴムで止めます。
 指サックをつまんだり離したりすると浮沈子が上下します。
 まるで遠隔操作をしているようで、こども達にはとても受けがよいようです。

 ただ、ビンの口に合う指サックを捜すことと、ワインの口より小さい浮沈子を作ることが、ちょっと大変かも知れませんね。

【 5. マヨラー浮沈子 】  【 材料 】 マヨネーズ容器 万年筆のカートリッジ 針金 水 ゼムクリップ
  【 遊び方 】 2リットルの大型ペットボトルは、握りにくくてこども達には大きすぎます。1.5リットルでも、2〜3才の幼児の力ではなかなか押せません。

 そこで万年筆の使用済みカートリッジで細い浮沈子を作り、良く洗ったマヨネーズの容器に入れてみてはどうでしょうか。
 入り口の星形は、はさみで切り取ってください。
 感触が気持ちがよいし、小さな力で何度も浮き沈みに熱中できます。

【 6. きらきら回転浮沈子 】  【 材料 】 円筒形の醤油差し ペットボトル ビーズ玉(プラスチック製) スパンコール ビニールテープ 針金 水 カッターナイフ 押しピン(画びょう) アクリル板
  【 遊び方 】 最後に女の子に人気の、きらきら光りながら廻る浮沈子を作ってみたいと思います。

 使うのは、円柱形の醤油差しです。カッターで醤油入れの底を5ミリくらいの深さで切り落とします。
 その中に小さなビーズやスパンコールなどを入れます。大量に入れると重くなりすぎるので注意。
 切り落とした底を戻し、透明のビニールテープでしっかりと取り付けます。

 次に廻る仕掛けです。底から1cmくらいのところに画びょうを使って2ヶ所の穴を開けます。
 ビニールテープの上からでも構いません。
 穴は右図のように上から見て互い違いになるように開けます。

 あとは針金を巻いておもりを取り付けるのですが、どうせなら色のきれいなアクリル板やプラ板を使って、お気に入りの飾りを作って、針金にぶら下げてはどうでしょうか。
 このあたりはこども達の発想力に任せましょう。

【 原理 】
 今度は画びょうの穴を通して水が出入りするのですから、醤油差しの口にはしっかりとフタを取り付けておいてください。
 圧力をゆるめたときに吐き出される水の反動で、浮沈子は図の方向に回転します。水が流入するときには逆回転になります。
 中に入れるビーズ玉やスパンコールをなるべく軽い物にしておくと、回転しながらふわっと浮いてさらにきれいです。
 

【 7. 浮沈子あそびで準備しておきたい道具 】
  【 プール 】 本当は水浸しになっても良いように、お風呂場で遊びたいところです。
 まあそうも行きませんから、とくに大人数で遊ぶときには、ビニール製の大きなプールを準備しましょう。
【 やかん・じょうご 】 ペットボトルに水を入れるために、あったら便利です。
【 コップ 】 まずはコップに浮かせて、じっくりと浮沈子の調整をします。
 ビヤガーデンで出されるような大きめの紙コップなら申し分なし。
 だからと言ってあなた、わざわざこれ幸いとビヤガーデンに行ったりしないで下さい。
 コップの中で浮沈子をちょっと突つくと、一旦沈んで、ゆっくりと浮き上がってくるくらいがベストの状態です。
【 長い針金 】 ペットボトルに沈んだ浮沈子を取り出すたびにボトルの水を全部出していては大変です。
 長い針金の先を少し曲げて、これに引っ掛けて取り出します。
【 スポイド 】 カートリッジ浮沈子やボールペン浮沈子の、水の量を調整するときに活躍します。
【 ピンセット 】 浮沈子をボトルから取り出すときや、形の細かな修正時に使います。

 

もっとくわしく知りたかったら 「子供にウケる科学手品77」  第188ページ 後藤道夫 著 講談社ブルーバックス \820
または 「青少年のための科学の祭典2005」 第9回長崎大会実行委員会
または 「青少年のための科学の祭典2006」 第10回長崎大会実行委員会
または ニュートン別冊「理系脳を育てる実験と工作」工作編 第62ページ 日本ガイシ ニュートンプレス社 \1000
または 「わくわく科学遊び」 第130,137ページ 小野操子と科学遊びの会 連合出版 \1500
 または 「はじめてのおもしろ理科実験&工作」 第48ページ 福井広和 著 主婦の友社 \880
または かんたん不思議!「100円グッズ実験&マジック」 第10ページ 福井広和 著 主婦の友社 \880
 または 「福岡県青少年科学館 資料室」

 

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